東京高等裁判所令和2年(う)第80号

本件は、被告人が、密輸の実行役を担当することで比較的高額の報酬が得られる仕事ということで依頼され、密輸に関わった事案であり、また、被告人は、密輸の対象物をダイヤモンドと聞かされていたのに、違法薬物の輸入ではないかどうかを確認しようとしたり、違法薬物ではないと説明を受けたと述べながら、ダイヤモンドの密輸に関する具体的な説明も受けず、ダイヤモンドの現物を実際に確認もしていないのであるから、これらの事情は、被告人が本件スーツケースの中に違法薬物が入っている可能性を認識し、その後もその認識が解消されていないことを推認させる事情といえ、その旨判示して、被告人の覚せい剤輸入の故意、共謀、営利目的を認定した原判決の事実認定には、論理則経験則等に照らして不合理なところはないとされた事例

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千葉地方裁判所令和元年(う)第631号

本件仕事の依頼内容は、他人に、多額の報酬を支払うことを約束した上、わざわざ香港からマレーシアまで渡航させて物品を受け取らせ、これを税関職員等に発見されないように日本に持ち込ませるというものであって、それ自体、運ばせる側にとって価値のある物であり、かつ、隠しておかなければならない物を扱うという点で不審なものであり、運ぶ物品がダイヤモンドであると言われていたとしても、もしかしたら覚せい剤等の違法薬物であるかもしれないとの疑いを生じさせるのに十分なものであるところ、被告人自身も、Bから依頼された際に、「こんなにおいしい話があるのか、違法薬物ではないのか」と尋ねたのであり、運ぶ物の中身を不審に思い、違法薬物が入っているのではないかとの疑いをもったのであり、その後、依頼に従ってマレーシアに行き、指示されたとおりに行動し、見知らぬ男性2名から、本件スーツケースを受け取ったが、中には絵本3冊及び本1冊があるのみで、ダイヤモンドは見当たらず、この男性2名からも何の説明もなかったというのであって、その後日本に渡航するまでの間、前記のような疑いが消えるようなきっかけや事情があったとは認められないことからすると、被告人は、本件スーツケースに入っていた絵本3冊の中に、覚せい剤を含む違法薬物が隠匿されているかもしれないと認識していたと推認できるとして、覚せい剤営利目的輸入の故意を認めた事例

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