本件トラックの荷台の高さや、本件ブロワを置いていたとして被害者が指示した荷台の位置、本件ブロワの形状等に照らすと、本件ブロワを本件トラックの荷台に置いたまま、別の作業に取り掛かったという被害者の原審証言が不自然・不合理であるとはいえず、そして、被害者は、本件当日の午前11時50分から実施された実況見分の時点から、本件トラックの荷台に本件ブロワを置いていたとして、荷台上の具体的な位置を指示している上、この点について、被害者が殊更に虚偽の供述をしたり、勘違いをするような事情も見当たらないことに照らすと、被害者の原審証言の信用性にも疑問は生じないとされた事例
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東京高等裁判所令和2年(う)第435号
被告人は、本件以前からAに対する暴力行為やストーカー行為を継続して行い、平成30年9月には、Aに傷害を負わせた罪で執行猶予付きの有罪判決を受けたにもかかわらず、Aに対して引き続き脅迫したりストーカー行為を行ったりしていたと認められ、Aは、このような被告人に対し強い恐怖心を抱いており、被告人の言動に合わせるようなことをしなければならなかったなどと述べているところ、Aは、被告人を刺激しないように前記の振る舞いや捜査段階初期の供述をしたと解されるから、Aの供述の信用性を左右する事情とはならないとして、Aの供述の信用性を認めた事例
東京高等裁判所平成30年(う)第1913号
被害女性は、財物を奪われないように口頭で抵抗しようと試みたにもかかわらず、結局抵抗できずにキャッシュカード・クレジットカード等を被告人に奪われ、暗証番号も教えざるを得なかったのであり、この点からみても、反抗抑圧状態にあったことは明らかであるとされた事例
通報防止目的で携帯電話機を奪った場合でも、その携帯電話機を換金したり、利用したりする目的は排除されないし、被告人が、携帯電話機等に含まれる情報から被告人の犯行であることが発覚することを懸念したとしても、無関係の場所のごみ箱に捨てるなど廃棄は容易であり、むしろそのような懸念を持っていたのであれば、自宅に保管などせずに早急に廃棄するなどするのが自然であるところ、被告人は、経済的価値が低いと思われる携帯電話機のカバーや個人の特定に有用なSIMカードは保管していなかったのに、経済的に価値のある携帯電話機及びスイカカードは保管していたのであり、被告人に不法領得の意思があったと認定した原判決が不合理とはいえないとされた事例
東京高等裁判所令和2年(う)第80号
本件は、被告人が、密輸の実行役を担当することで比較的高額の報酬が得られる仕事ということで依頼され、密輸に関わった事案であり、また、被告人は、密輸の対象物をダイヤモンドと聞かされていたのに、違法薬物の輸入ではないかどうかを確認しようとしたり、違法薬物ではないと説明を受けたと述べながら、ダイヤモンドの密輸に関する具体的な説明も受けず、ダイヤモンドの現物を実際に確認もしていないのであるから、これらの事情は、被告人が本件スーツケースの中に違法薬物が入っている可能性を認識し、その後もその認識が解消されていないことを推認させる事情といえ、その旨判示して、被告人の覚せい剤輸入の故意、共謀、営利目的を認定した原判決の事実認定には、論理則経験則等に照らして不合理なところはないとされた事例
東京高等裁判所令和元年(う)第2020号
B鑑定等によれば、Aは、重度の知的能力障害を有しており、質問に対して、時に二語文を使うが多くは単語レベルの応答であり、反響言語と思われる部分もあるなど、発話能力が極めて低いことが認められ、そうすると、7分程度とはいえ、外見上は成人女性のAに話し掛けていた被告人は、Aの応答状況等から、Aに重度の知的能力障害があることを十分認識したと推認できるなどとして、被告人の準強制わいせつの故意を認めた事例
東京高等裁判所令和元年(う)第1961号
原判決は、犯罪組織における位置づけとしては重要な意思決定を行う上位者ではなく、切り捨て可能な末端の受け子にすぎないという被告人の役割を踏まえた上で、高額の収入を得ようと自らインターネットを検索して組織に接触し、犯罪であることを認識しながら犯行に加担し、現金獲得という究極の目的実現のために不可欠かつ重要な役割を繰り返していることから犯意が強固であるなどとしたものであって、何ら不合理ではないとして、被告人を懲役5年(求刑懲役6年)に処した原判決の量刑は相当であるとされた事例
原判決後、実姉が被告人の社会復帰後の監督を申し出ていることが認められるが、一般情状であるから、量刑上考慮するにも限度があり、原判決の量刑を変更すべきものとは認められないとされた事例
東京高等裁判所令和元年(う)第1006号
被告人Y1は、平成29年12月までは、掛け子の中で責任ある立場を担いながら、詐欺の掛け子の役割を果たし、共犯者らと共謀して本件詐欺等を繰り返していたのであるから、そのような被告人が平成30年1月以降は実行行為を行っていなかったとしても、自らの名義で借りていた拠点を継続して提供し、同じような詐欺等が行われている同所への出入りを続ける中で、摘発の際は賃借名義人として捜査機関に対応するつもりであったなどというのであるから、平成30年1月以降の事実についても共謀が認められ、共同正犯が成立するのは明らかといえるとされた事例
詐欺罪が既遂となるためには、被告人や共犯者名義の口座に振り込まれるまでの必要はなく、被告人らが現金の支配を現実的に獲得すれば足りると解すべきであるとされた事例
本件は、虚偽の宝くじ等の当選話を言葉巧みに被害者らに信じ込ませ、何度も現金をだまし取るという犯行であるので、振込行為ごとに詐欺罪が成立すると考えるのは相当ではなく、被害者ごとに包括して詐欺罪が成立するとすべきであるとされた事例
詐欺罪と組織犯罪処罰法における犯罪収益取得事実仮装の罪は保護法益が異なる上、両者の行為の重なり合いの程度等からすると、これらを社会的に見て1個の行為と評価するのは相当とはいえず、両罪は併合罪の関係にあると解するのが相当であるとされた事例
東京高等裁判所令和元年(う)第1276号
日常生活において、166枚もの千円札と33枚の五千円札を同時に持ち合わせることが通常考え難く、犯人が被害店舗から千円札177枚と五千円札37枚を奪い、その約1時間後から翌日午前中にかけて、被告人が166枚の千円札と33枚の五千円札を自己名義の銀行口座等に入金したという事実は、それ自体、これらの紙幣の同一性、ひいては被告人の犯人性を相当程度推認させる事情といえるとされた事例
棒金は、一般的な日常生活において通常必要とされるものではないことなどからすると、本件の被害金品と同種の棒金1本を被告人が所持していたという事実は、被告人が犯人であることを推認させる一つの事情にはなり得るといえるとされた事例
東京高等裁判所令和元年(う)第1354号
未精算の小型の商品をエコバッグに入れてそのまま会計せずに店外に持ち出せば、盗みと疑われるのはいわば必然であることは、容易に想起できるところ、被告人は、窃盗罪による執行猶予期間中であるから、より一層、そのようなことに思い至らなかったとは考え難く、被告人の原審公判供述によっても、会計し終わった品物をショルダーバッグに入れるときに、本件シートに気付いたが、そこで出したら、周りから見えない状況に物を置いていたので、窃盗と思われても仕方がないなどとまで心配し、おつりを貰う時にも、ためらったというのであるから、判断ができないようなパニック状態に被告人があったとはみられないなどとして、被告人に窃盗の故意及び不法領得の意思があったことは明らかであるとした事例
東京高等裁判所平成31年(う)第677号
打合せ期日に被告人が出頭する権利はないし、原裁判所が国選弁護人解任申出に対する職権発動をしなかったことに裁量権の逸脱があったとも認められず、また、原審弁護人の誠実義務違反の事実も認められないとして、原判決に審理不尽を含む訴訟手続の法令違反は認められないとされた事例
被告人の原審公判供述を前提にしても、Aの指示に基づく狂言強盗が完全に失敗しただけでなく、狂言強盗の相手方でない者に傷害を負わせてしまったという予期せぬ事態に至った被告人としては、犯行を続ける意味は全くなかったのであり、被害者の足を刺したことを認識していたことからしても、この時点では逃げることが十分に可能だったはずであるのに、被告人は、逃げるどころか、被害者の両手両足を縛り、被害者から現金の保管場所を聞き出すや、厨房からカウンターに移動して手提げ金庫内の現金を取っているのであり、このような行為は、狂言強盗の合意があると信じていた者が実はそうでなかったことを突然知った際に取る行動とは相容れず、むしろ、被害店舗の現金をはじめから奪うつもりであった者の行動と整合するとして、強盗の故意が認められるとされた事例
東京高等裁判所令和元年(う)第1088号
本件各犯行に使用された携帯電話と被告人方から押収された携帯電話の発信地域は、具体的な所番地はもとより市区町村単位まで特定できたものではなく、都道府県レベルの比較的広域で符合するというに過ぎないものであって、他県への移動に伴う発信地域の符合も頻回に及ぶものではないことに照らすと、各携帯電話の発信地域の符合が、被告人がオペレーター役であったことを推認させる程度は原判決が説示するほど強いものとみるのは困難であるとされた事例
他方、Dの原審証言は、一定の裏付けがあるものであって、信用できることからすると、Dによる被告人の面割り供述が被告人の犯人性を推認させる程度は、原判決がいうような犯人性と矛盾しないという程度にとどまるものではないとみるべきであるとされた事例
東京高等裁判所令和元年(う)第980号
Bが、視認した距離を当初の約30メートルから約92メートルと訂正しているとしても、また、日没の約14分前の時刻であったとしても、Bの視認条件は、さほど劣悪とはいえず、そもそも、Bは、当時、覚せい剤取締法違反の嫌疑を持って捜査のために被告人とAの動きを注意深く観察していたのであるから、観察が困難な状況であれば、移動などすることも想定できたのに、そのようにもしていないので、被告人がAに対し封筒様の物を手渡すのをBが視認できたとしても、不自然ではないとされた事例
被告人がAに対し、約0.438グラムの覚せい剤を無償で譲り渡したというのは、不自然さが否めず、Aの供述のうちこの部分は直ちには信用し難いところであるが、Aが、捜査段階では、被告人から本件覚せい剤を代金1万5000円で買ったと供述していたこと、かつてAが所属していた組織において、被告人の方が上位にあったことなどに鑑みると、Aは、原審公判において、被告人をかばうために上記のような不自然な内容を含む供述をしたと理解することが可能であるとされた事例