被害者の右手薬指の骨折について、医師は、剥離した骨片が移動し、付近の組織に炎症や内出血を起こし、腫れと変色が生じたものである旨判断しており、被害者自身は、右手薬指の状態について、被害直後は痛みを感じなかったが、段々と痛みが出てきて、どんどん腫れ上がった旨、事件前には右手薬指の骨折を含め怪我は無かった旨、この骨折等は今回の事件の際に生じたものである旨供述しているところ、同医師は怪我の治療等の専門家であり、その判断を疑うべき理由が認められず、被害者の上記供述は、同医師の判断と整合しており、事件当日には気付かなかった骨折が翌日に至って判明した状況をよく説明しており、また、被害者は手指が云わば商売道具の美容師として客商売をしていることを踏まえると、事件前に手指の骨折を含め怪我があったかどうかは重大関心事であり、この点について記憶違いをするようなことは考えられないし、現に事件前に怪我のせいで仕事等に差支えが生じたような事情も認められないことから、被害者の上記供述は信用することができ、被害者の右手薬指の骨折は本件強盗の機会に生じたものと認められるとされた事例
被害女性の携帯電話機を被告人が奪った時期は、強盗の犯意を実現するために被害女性のバック内を物色していたときであるから、強盗の犯意の実現の一環として奪ったことを示唆しており、少なくとも、もっぱら被害女性に同携帯電話機を使わせないことや投棄又は破壊のみを目的として奪い取ったとは考え難く、更に同携帯電話機を奪った後の処分状況を検討すると、被告人は、本件7日後又は9日後に至るまでスイカカード又は同携帯電話機本体を他人が干渉できない又は干渉困難な場所に保管していたのであるから、被告人は、これらを独占的排他的に支配する意思で現に独占的排他的に支配し続けていたことが認められ、同携帯電話機を、権利者を排除して所有者同然に扱う意思と同携帯電話機から何らかの利用・処分の利益を想定してこれを奪ったものと推認するのが自然かつ合理的であると認められた事例